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麻布十番から広尾に向かって歩いていくと南麻布、西麻布という住所を通過するのだが、田舎者にとってはなんともいい響きの地名。 そして西麻布界隈、外苑西通りを一本渋谷寄りに入ると、そこはワインバーやビストロ、こじゃれた飲み屋が軒を連ねるセレブな通り(通称ビストロ通りと呼ばれているそうだ)となっている。歩くだけでも身構えてしまいそうな、身分不相応な空間。 そこにひっそりと佇むのがブルゴーニュ専門ワインバーを標榜するLe・Caviste(ル・カヴィスト)。ビルの3階で、黒く重たい扉ということもあり隠れ家度が非常に高い。もっとも店長のカブさんは、ご自身のブログから活発に情報発信を行っており、ワインが好きな人だけでなくその人柄に惹かれて来店する方も多いようだ。
ワインバーとはいえ、歩き疲れた喉を癒すためビールを一杯。ハートランドがワイングラスに入って供されるという、ぜいたくな立ち上がり。その後はピュリニー・モンラッシェの白から始まり、コート・ドールを駆け足で巡るようなバーチャルツアーが展開された。
エマニュエル・ルジェにドメーヌ・アルローと綺羅星の如きドメーヌのワインが並ぶ。優しさの中に造り手の明確な主張が込められており、しばし心の中で無言の問答をやりとりした。 圧巻だったのがスペイン・イベリコ豚の生ハム。その場で切り取ってくれ皿に盛ってもらう。妖しく光る脂分は太陽のもとすくすくと健康に育った証し。ドングリの香りを微かに放ちながら、噛めば噛むほど「これでもか」というほど旨みが滲み出る。健康サプリメント飲料ではないが、まさにアミノ酸が充満しているのかもしれない。 食べたものはこれだけだが、ここはワインバー。ゆっくりとワインを楽しむにはこの一皿で十分だった。「今度は大切な人、気のおけない人とぜひ来てみたい。」そう思わせるような、オーセンティックなワインバー。さすが西麻布、少し遠い寄り道だったがかけがえのないものを発見できたようだ。 モレ・サン・ドニ1級畑レ・ミランドB.S. [2000] アルロー
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