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じわじわと人気が出ているスペイン料理だがまだフランスやイタリアほどの市民権は得ていない。 ワインでは20世紀後半に大きな進歩を見せ、革新的な造り手が世界中を席捲した。スペイン料理店のみならず各国の高級レストランやワインバーにスーパー・スパニッシュと呼ばれるワインが並んでいた。 しかし、そんな一部の高級銘柄だけがもてはやされる、というブームでは裾野は広がらない。世界的なワインの嗜好も濃厚赤ワインから優しい自然派のものへシフトしつつある中、スペインワインは一時行き場を失ったかに思えた。 やはり地に足の着いたワインの販促プロモーションこそ、長い目で見ると得策なのかもしれない。このところは安くて旨いワイン、土地の個性を反映した地場品種のワインが見直されるようになり、高級レストランのみならず街場のビストロやバール、居酒屋などにも並ぶようになってきた。BGMはラテン系で、明るく、陽気に楽しく飲もうというわけだ。
というわけでやってきたのは、日本橋・小伝馬町の路地裏にひっそりと佇むスペイン居酒屋「エルベベドール」。ここのウリは何といってもワイン・バイキング。カウンターにずらりと並ぶスペインワイン約15種類が飲み放題という、にわかには信じがたい楽園のようなお店。 まず最初のタパス(つまみ)はそら豆のフリット。ふっくらとしたお豆が軽く揚げられていて、塩コショウの効いた軽快なおつまみ。「とまらない美味しさ」とはこういうものを指すのだろうか。
次々とワインをお代わりするうちに、小気味いいタパスが運ばれてくる。豚串はニンニクが効いてジューシーな美味しさ。これにはさすがにカーニャ(生ビール)が欲しくなる。プリプリのシマエビもニンニク風味を身にまとい、はちきれんばかりの旨みが滲み出る。 生ハムはハモン・セラーノ。脂分は適度な濃さで、さっぱりとした旨みが噛めば噛むほどじわりと出てくる。柔らかいアボガドとアンチョビの組み合わせには磯の香りがする白ワインを。蟹のスペイン風オムレツはふんわりしっとりパンケーキのような美味しさ。中に詰められた蟹の甘みを、辛口白ワインがさらに引き立てる。
ジャガイモに、キノコに、カニグラタン。ご馳走は容赦なくテーブルに運ばれてくるが、あれよあれよと言う間に胃袋に収まっていくから不思議だ。この間にも赤ワインへと飲み進み、いよいよテンションは上がっていく。 牛の胃袋には濃厚なガルナッチャがよく合う。こってりとした脂分をきめ細かいタンニンがさっぱりと洗い流してくれるのだ。そして〆の一品にはスペインの炊き込みご飯、パエージャを。イカスミのパエージャは見た目は真っ黒だが、ニンニクの香りに包まれて磯の風味が充実。特におこげの部分には旨みが凝縮していた。 あっという間に4時間近くが経過し、楽しいうちに幕を閉じたスペイン・ワインバイキング。大人数でワイワイやることでさらに真価を発揮するスペイン料理店に、食べること・飲むことの楽しさをあらためて教えてもらった思いだ。 スペイン産アンチョビ・フィレ95g(約14尾)ANCHOAS EN ACEITE DE OLIVA 95g
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