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東京に来て一年、いろんなお好み焼を食べてきたがここは少し特別な存在。オール・アバウト「大人の食べ歩き」で紹介されてから気になって仕方がなかったが、店休日だったり予約でいっぱいだったりしてなかなか食べに行くことができなかったのだ。 なぜそんなに気になる存在かというと美味しそうなのはもちろんのこと、オーナーが元・広島カープ(日ハム、巨人)の金石昭人だからだ。広島カープファンとしては見過ごすわけにはいかない。もしかしてお店で会えるかも?そんな淡い期待を抱きつつ、予約を入れて万全の体制で臨んだ。いざ、麻布十番である。 お店の前まで来て、少し驚いた。とてもお好み焼やとは思えない、清潔で綺麗、上品な店構え。たしかにまだ新しいお店ではあるが、堂々としたオーラが感じられた。襟を正される思いだ。 カウンターに陣取ると、まずはビールで乾杯。さすがにビールメーカーのロゴなどが入ったジョッキではなく、シャープなラインのグラスだ。店員さんも慣れたもので、一見の私たちにもいきなり気さくに接してくれる。「今日はねぇ、鶏とコウネがおすすめですよ」という言葉に従い、鶏を焼いてもらった。
目の前でジュージュー焼かれるその音だけでも、ビールが進むというものだ。もやし炒めは豚肉とネギが和えてあり、特製のポン酢だれが旨い。鶏肉はプリプリで脂も程よく、口中でジューシーにとろける。そして圧巻だったのは牛スジの煮込み。広島でもよくお通し代わりというか、ビールのアテとして食べるのだがここのは味がよく染み込んでいた。牛肉もほっくり柔らかく、固体なのか液体なのか分からないほど。たっぷりのネギが脂っこさをうまくカバーする、垂涎・必食の一皿だ。
生地をひき、やや粗く切ったキャベツともやしを乗せる。豚バラ肉は厚めのものが3枚。そばとうどんは生麺を茹でて、鉄板の上でカリッと焼き上げる。最後は卵でとじて青海苔をかけるという、いたってオーソドックスな仕上がり。ソースはやや辛口のもので、さっぱりとした食感。
そしてもちろん、そばもおいしい。縮れのないストレートな細麺を茹でて、鉄板上でカリッカリに焼く。クリスピーな食感に加え、少し焦げたソースが絡みつき、もう止まらないおいしさ!思わず黙り込んでしまうほどだ。1枚¥1100と、決して安くはない。しかしボリュームがあり、素材も確かで、ホスピタリティにも富んでいる。麻布十番という場所柄を考えれば、真っ当な価格だろう。
あっという間にお好み焼をペロリと平らげ、残った牛スジ煮込みをツマみながらしばし余韻に浸る。心地よい満腹感とともに幸せを感じる瞬間だ。さらにデザートは別腹というわけではないが、名前が気になっていた慎之介焼きを注文。これは小豆を練りこんだクレープ状のもので、両側がカリッと焼かれていて甘さは控えめ。でもふんわりと豆の甘さが漂う、まさに大人のための夜のデザート。 気がつくと店内はお客さんで埋まっていた。金曜の夜ということもあるが、テーブルもカウンターも予約でいっぱいだったのだろう。あちこちから笑い声も聞こえる。さらによく見るとシャンパーニュやらワインがボトルで飲まれている。客層もどこかセレブでゴージャスな立ち振る舞いだ。あ、そうか。ここは麻布十番だったのだ。麻布十番という地で鉄板を前にして広島風お好み焼を喰らう。なんとも粋で贅沢な夜を過ごすことができた。一緒に付き合って下さった方々、どうもありがとうございました。
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