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広島風お好み焼の中でも1、2の人気を争う超有名店、八昌(はっしょう)。暖簾分けなど複雑な系図があり、いくつか支店も存在しているが最も有名なのは薬研堀にある本店。壁には一面有名人のサインが残されており、人気の高さをうかがわせる。 そんな八昌のお好み焼が、東京でも味わえるという。早速、世田谷区経堂に向かった。太陽が照りつける真夏の午後だが、暑いときには熱いものが欲しくなる。 まずは、生ビール(中)を注文。ご丁寧に、アサヒビールなのも本店と一緒だ。泡付けも見事で鮮度もいい。ADSのクオリティ・セミナーを受講したのだろうか。アテにと思ってスジ煮込みをもらおうとしたが、こちらは夜だけの提供。しかたなく若い店主の鉄板さばきを眺めながら、生ビールを流し込んだ。
店主はまだ若い。少し今井雅之にも似た強面で、意志の強そうな面構えがなんとも頼もしい。コテさばきも堂に入ったもので、客と談笑しながらも手元は忙しく華麗に動く。 そばはもちろん生麺。茹でた後にしっかりと湯切りをし、鉄板の上に広げてほぐしていく。流れるような一連の動作に見入ってしまい、ジョッキを持つ手も止まってしまう。
一番下にひかれた衣にまず、特徴がある。まるで釜焼きピッツァのような、パリッとした焼き具合がなんとも香ばしい。コテもすっきりと入るので、型崩れもしない。 その上にキャベツともやしが載っている。一点不満があるとすれば、この野菜の量が少ないこと。まあ、東京でこの値段、というのを考えると適量なのかもしれないが、質のいいキャベツなだけに、惜しいところだ。もう200円高くても、山盛りのキャベツにしたいくらい。
その上には豚肉がピッタリと張り付く。この豚肉がただものではない。カリッとした香ばしさと甘い肉汁は、スペインのイベリコ豚など、まるで高級ベーコンを思わせる。これだけでビール3杯はいけそうなほど旨い。肉は脂身を出すだけのもの、なんていう認識だったので、不意打ちをくらった格好だ。
そしてとどめは、あのニ黄卵。鉄板上で卵を割るとあら不思議、いつも黄味が二つ入っているのだ。その上にお好み焼を乗せて、頃合を見計らってひっくり返す。するとどうだ、絶妙の半熟具合の卵がトップに来ている、というわけ。あとは胡椒、青海苔を振りかけて完成。きわめてオーソドックスながら、それだけに素材の確かさと手際のよさが要求される、まさに職人技の、渾身の一枚。 しばらくだまってひたすらにヘラを動かし続けたのは、いうまでもない。ただ、東京でも広島と比べて遜色のない、おいしいお好み焼が食べられるとは、便利になったものだ。もっとも、それは少し寂しいことでもある。その土地に行かなければ食べられなかったものが、大都会・東京には集積している。時代の流れは早い。そのうち「東京に、讃岐うどんを食べに行こう」なんていうのも、笑い話じゃなくなるのかもしれない。 ご意見・ご感想は掲示板へ!
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