●オーベルニュのロゼワイン

暑い夏の夜、温泉上がりに開けてみたのはフランスのロゼワイン。しかしロゼ・ダンジュでもボルドー・ロゼでもなく、中央フランスはオーベルニュ地方のロゼワイン。AOCでもなくVDPでもなく、普段あまり見かけないAOVDQSのワイン。
コート・ドーベルニュのロゼワイン、作り手はドメーヌ・スー・トゥルノエル。前に白を飲んだことがあるが、そのときはピュアな繊細さに心底酔いしれた。強くもなく弱くもなく、ただ厳然と存在する土着のおいしさ。
ロゼワインにしては随分薄い仕上がりで南仏やボルドーには見劣りするかもしれない。香りもどちらかというと華奢で、頼りなく漂う迫力のないもの。ふっくらとした酵母の香りが微発泡を想像させる。
飲んでみると微かな発泡が心地よく、酸は穏やか果実味は滑らか。何事もなかったかのようにツルンと咽喉を滑っていく空気のような存在感。旨いとか凄いとか、そういう言葉は浮かんでこないがしみじみと滋味深い。絶妙なバランス感覚を持った、思索に耽るのに絶好のロゼワインかもしれない。